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『puzzle(パズル)』~静寂な廃墟の孤島で不可思議状況

puzzle
書名puzzle(パズル)
著者恩田 陸
出版社祥伝社
体裁文庫
価格¥ 400 (税込)
評価face02face02face02face02

コンクリートの堤防に囲まれ、鉄筋の高層アパートや雑多な建物が乱立し、それらが瓦礫となって打ち捨てられている、無機質で生物の感触が無い廃墟の孤島。
そして、そこで発見された、餓死死体・全身打撲死体・感電死体。
島のあちこちで発見された遺体たちは、死亡時刻も近く、奇妙な状況で、奇妙な文書と共にあった。
遺留品は、持っていた文書のみ。身元を示すものはなく、遺体たちの関連性も見つけられない。
果たして、事故か?殺人か?!
事件後、二人の検事が島に降り立った。
そして、現場へと足を踏み入れていく…

作者の情景描写の上手さもあり、廃墟を歩くスーツ姿の二人の男が目に浮かんできます。
ザクザクと瓦礫を踏み歩く、足音のみが辺りに響く。
物語全体に廃墟の無機質な静寂さが漂っています。
嵐の場面もあるのですが、荒れ狂っているのに音声が無い、不気味な静けさと冷気が感じられます。
まるで、無声映画を見ているような感じの「視覚的」な印象の小説です。

ジャンルとしてはミステリーで、謎がジグソーパズルのピースのように散りばめられているのですが、複雑さやおどろおどろしさはなく、淡々とストーリーが展開していきます。
そのシンプルさと静寂さと渋さが好きですね~にっこり
約150ページですが、字が詰まっていないので、中編というより短編の分量です。
通勤電車の往復で読み終わる感じなので、気軽に読むことができます。

舞台となった廃墟の島のモデルは、長崎県端島。通称「軍艦島」。
炭鉱として栄えた島だったそうですが、今は無人島です。
ちょうど?「廃墟ブーム」が世間に浸透し始めた頃に読んだので、舞台効果満点だなと思った記憶があります。

冒頭、新聞記事や資料の抜粋のようなもの、料理本の記事など、文章の断片が「パズルのピース」のように散らばっています。
それらは「ピース」であるため、その文章を軽く読み飛ばしても、ストーリーを追うことはできます。
でも、雑学としては面白い文章が集まっているので、ついつい読んじゃいます。
実は「昭和」という年号が「光文」だったかも知れない(光文事件)、とか。
(そうしたら、私は「光文○○年生まれ」…違和感ですicon10)





at 2008年05月09日 │Comments(0)TrackBack(0)国内

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