『銀河鉄道の夜』~夏の夜の美しくも哀しく切ない童話
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| 書名 | 新編 銀河鉄道の夜 |
| 著者 | 宮沢 賢治 |
| 出版社 | 新潮社 |
| 体裁 | 文庫本 |
| 価格 | ¥420 (税込) |
| 評価 | ![]() ![]() ![]() ![]() ![]() |
子供の頃に読んだきりだったので、「新編」が出たのをきっかけに「銀河鉄道の夜」を再読しました。
大人になった今の方がより感動できた気がします。
宮沢賢治の精神世界を少しは読み取ることができるようになったのでしょうか。
あまり詳しくない&ボキャブラリー不足で宮沢賢治を語るのもおこがましい気もしますが、一個人の感想、ということで。
夏の夜、真っ黒な空間に浮かぶ白いミルクの流れのような銀河、ケンタウルスの夜祭で町のあちこちが飾り付けられ輝く反面、野原は暗くでも星が瞬き・・・明暗の対比が物語にメリハリをつけています。
地上から眺める夏の夜空、銀河鉄道に乗って星を周るところ、美しい星空の中に自分も身を置いているような気になります。
星は「琴座のベガ」「蠍座」など北半球の夏空を思わせますが、日本では見られない南十字星なども出てきます。
他にも、「りんどうの花」「りんごの匂いや野バラの匂い」、と夏をベースにしつつも、春や秋などの季節のものがまざっています。
主人公の名前が「カンパネルラ」「ジョバンニ」という名前、町の様子などがちょっと異国風で、素敵なイメージが沸いてきます。ジョバンニが角砂糖とパンを買って帰るところも、外国っぽく感じました。
ちなみに「カンパネルラ」というのは、イタリアの哲学者の名前がモデルではないか、と言われています。(注釈より)
主人公の少年ジョバンニは、学校に行きながら働いています。
少年は貧しく故に孤独な環境に身を置いています。
父親が不在で同級生にしつこくからかわれたり、のけ者にされたり、同級生が遊んでいるのを横目に仕事にでかけたり、その職場の大人たちにもなじめず、母親は病気である、さらに配達の牛乳も届かない、と傍から見るとあまり幸福そうな感じではありません。
しかし、夢の中で親友のカンパネルラと銀河鉄道で星を周る旅に出て、「自身の幸福」「みんなの幸福」について考えます。
この話は「死」と「宗教」もテーマになっていると思います。
「神様に召される」前の旅路として、「銀河鉄道」が存在するようです。
死の旅路がこういう美しいものなら良いと思わせれくれました。
「死」が物語底辺に流れている事で、切なさや哀しさが漂っているのでしょうか。
こういう美しい話を読むのも良いなあ、とヒシヒシと感じました。
また、これだけの深い話しが65ページの少ない分量であることにも改めて驚きました。
この本には、表題作以外にもたくさんの話しが詰まっています。
「童話」なのかもしれませんが、奥深い話が多く、注釈や解説つきなので、大人で再読する人も楽しめます。もちろん、短編でわかりやすい話なので、子供や初めて読む大人でも読みやすいです。
「銀河鉄道の夜」で出てくる「星めぐりの歌」の楽譜も掲載されています。
本作を読んで、夏の夜空に思いをはせるのも素敵ですね。
P.S.
この話を読み、最近多い水の事故を連想してしまいました。
事故に合われた方のご冥福をお祈りいたします。
新編は「よだかの星」「セロ弾きのゴーシュ」など、有名作品も収録されています。
アニメーション映画は、昔見て感動しました。
原作の雰囲気を損ねることが無く、丁寧に作りこまれています。音楽も素敵です。
猫が擬人化したものですが、人間で表現するより良かったと思います。
※(以下、Amazonの商品紹介より)
宮澤賢治の代表作である同名作品と、同作をもとにキャラクターを猫に置き換えて描かれたますむらひろしの漫画作品をそれぞれ原作と原案に、「タッチ」の杉井ギサブロー監督、劇作家の別役実脚本、そして細野晴臣音楽の豪華スタッフによって1985年に制作された劇場用長編アニメーション。
美しい画像がたくさん詰まっているようです。動作環境を充分確認してからご購入下さい。
来週の「きまぐれ書店β版」は夏季休業とさせていただきます。
次回は、8月22日開始予定です。
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